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何処かに行っていた皐月が戻ってきて、すぐに後ろを振り向く。
目が合う…合わないけれどあった気がした。
「なーに?僕の話なわけ?」
「うん。さっきゅんと友達なの?って聞いてたの」
「おー。友達、友達っ!直紀の初友なんじゃねーの?な」
目を伏せ、小さく頷く。
少し照れくさかった。
「ボクも友達になりたいな!ボク、若松華也ね」
若松 華也(わかまつ かや)さん。
漢字を聞いたら、華也さんにぴったりの字だと思った。
だって、華(はな)だし。
「華也って呼んでね。直紀くん…んー…ナオって呼んでもいいかな?」
「はい。いいですよ。これからよろしくお願いしますね、華也さん」
華也さんは何か言おうと口を開いたところで、次の授業の先生が入ってきてしまい席に戻っていった。
また、新しい友達が出来た。
嬉しい。
想わず笑みを溢せば、まだ皐月がこっちを見ていた。
「え、なに?」
「いーや。可愛いなって」
何を言っているんだ。
何か言い返そうとしたとき、授業前の号令がかかる。
…狙っているのか、この人達は…。
結局皐月も前を向いてしまい、なにも言えなかった。
なにをしたかったんだろう、皐月は。
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