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数秒後、生徒会がステージに上がってくる。
どうやら、おれらはギリギリ到着だったみたいだ。
『んんっ…。貴重な休みに集まっていただきありがとうございます』
咳払いのあと、秋月さんが話し出す。
ざわついていた生徒が静かになった。
まるで、一言も聞き逃さないぞ、とでも言うようだ。
『集まっていただいたのは、生徒会増員のためです』
体育館が揺れた。
もしかしなくとも、これはおれのことだろう。
隣の皐月も驚いた顔をしている。
『数年間居なかった補佐の職があります。そこに、この度転入してきた2年が入ることになりました。宮野さん、こちらに』
この、ギラギラとした…これはきっと敵視。
そこに行けと言うのか。
なんて、拷問…。
生徒会はみんな美形だからな。
そこに転入してきた奴が入るのが気にくわないんだと思う。
「え、直紀…おま、補佐なの!?」
皐月の驚いた大きい声も、生徒たちのざわめきでかきけされる。
「うん…」
「マジかよ…すっげ」
別に自分からなりたいと言ったわけではないんだが。
「行ってくる」と言えば皐月は手を上げ、「がんば」とだけ言った。
突然歩き出すおれに周りの人は視線を向けてくる。
それに釣られて、というように一人、また一人とこちらに視線を送る。
ステージの階段に差し掛かった時には、全員が注目していた。
当たり前かもしれないが。
『彼が新しい生徒会補佐を務める宮野直紀さんです。直紀さん、一言お願いします』
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