2年A組に入る日。

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なるほど。 この首輪はご主人様のモノ、という証か。 じっと見つめてから、首に巻き付ける。 「どうですか?」 鏡がないからどうなっているか分からない。 おれの首には、赤色の首輪。 似合ってるのかな。 「それでいい。放課後、生徒会室に来い」 自分の教室を目指す。 さっきの集まりの理由だったからか、たくさんの目がおれに集まる。 もしかしたら、赤色の首輪に目を向けている人もいるかもしれないが。 そっと、首にあるご主人様の犬の証に触れた。 おれは、ご主人様の飼い犬。 ご主人様に忠実な飼い犬。 束縛は嫌いだ。 自由になりたいと思ってきたから。 だけど。 ご主人様という存在に縛られるのは、そこまで嫌じゃない…かもしれない。 おれは、ご主人様の犬だからかな。 「ここが食堂な」 皐月と合流して、食堂に来た。 案の定首輪のことを聞かれたが、笑って誤魔化した。 なんとなく、言いたくなかった。 「…へぇ…」 予想はしていたさ。 だって今まで全てが広くて大きくて豪華だったんだ。 食堂が広くて大きくて豪華なのは、当たり前じゃないか。 「注文はタッチパネルなー。そしたら、ウェイターが運んできてくれっから」 どこまでもお坊ちゃん学園なんだな。 入り口に近い席に座る。 生徒会専用のテーブルがあるらしいが、皐月と一緒に食べたいのでそこには行かない。 一般は入ってはいけないから。 「何食う?僕はAランチっと」 「おれもそれがいい」
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