2年A組に入る日。

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今度は話せる程度に口に運んでいる。 ものを口に入れて、話すのはどうかと思う。 でも、聞いたのはおれだからな…。 「名前の通り新入生を歓迎する会のことさ。全校生徒でやるんだぜ」 全校生徒…。 まぁ、歓迎会だし、普通なのか? 「去年は宝探しだった。桜歌にご褒美が書かれた紙を隠してそれを探したんだ」 なにそれ、大規模すぎる。 桜歌に…って。 それ、発見されないやつも出てきそう。 「今年はなんだろうなー」 「知らないの?」 テンポよく進んでいた皐月のスプーンが止まる。 「当日発表なんだ」 動きを止めて、おれをじっと見てくる。 どうすればいいんだ。 戸惑っていれば、スプーンでパフェをすくっておれの方に近付けてくる。 思わず、喉がなる。 このパフェ、量が多いから頼もうと思えなかった。 主食なしじゃないと食べれなそうな量。 皐月はそれをペロリと食べようとしている。 なのに、体は普通体型。 太らない体質なのか? 「くふふ。やっぱ、食べたいんだー?」 何故分かった…。 恥ずかしくなり、顔が少しだけ赤くなる。 「ずっと見てたもんなー!」 ずいっとスプーンが目の前まで来た。 なにをしたいのか、分からない。 スプーンに乗っている、美味しそうなパフェに目を落とす。 食べたいな。 「はい、あーん」
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