2年A組に入る日。

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華也の周りには、いい意味で花が舞っている気がする。 心の安らぎになる。 可愛いな、全く。 笑みが溢れる。 小さい動物みたいだ。 おれよりも低い位置にある頭をそっと撫でた。 華也は少しだけ照れているようだが、嬉しそうに目を細めた。 「直紀…僕には!?」 皐月が自分のことを指差して言う。 皐月はおれよりも背が高い。 髪も目が隠れるほどに長いし、少し癖がついてて跳ねている。 まず、背が高いってところで、手を上に伸ばさないといけなくなる。 要するに、却下だ。 「やってくれよ!ワクテカ!」 なんだかよくわからない言葉を発した皐月を無視して授業の準備に取りかかる。 ぶつぶつと文句を言う皐月を横目に、授業が始まった。 午後の授業は眠くなる。 それでも眠らないよう時折頬を摘まんで頑張った。 欠伸をして、涙目になってしまったのは先生もそっと目を反らしてくれた。 多目に見てくれたのかな? 昨日も来た豪華な扉をノックして中に入る。 皐月と華也とは明日一緒に登校する約束をしてから別れた。 「失礼します」 生徒会室の中に居たのは百瀬さんだけだった。 「なおき、紅茶…」 単語で話す百瀬さんの言葉を理解するのは、まだおれには時間がかかる。 でも、きっとこの一言は「紅茶いる?」ということだろう。 「紅茶ですか?おれ、淹れますよ」 百瀬さんは首を横に振った。
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