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新入生は百瀬さんの話し方に慣れていないため、意味を理解しようと必死に耳を傾けていた。
『強制、無理矢理…だめ。常識』
言わなくても大丈夫であろうことを、言う。
最後の確認だ。
言わなくてもここの生徒なら大丈夫だと思われるから、注意事項はさらりと流される。
『違反、風紀…取り締まる』
言うことは終わった、とでもいうように百瀬さんは秋月さんの元に行く。
マイクが戻ってきた秋月さんは息を吸い込んで話始めた。
『風紀委員会は取り締まりのため、鬼ごっこには参加いたしません。違法は重さにより異なりますが、最低でも謹慎3日とします。風紀委員会のお世話にならないよう、楽しみましょう』
ちらりと時計で時間を確認する。
『鬼ごっこは2時間です。逃げる側の人は会長の合図で逃げてください。鬼はその5分後にスタートです』
ご主人様にマイクが渡る。
マイク移動しすぎだ。
ご主人様は腕時計で時間を確認しながら、時間が来るのを待つ。
ドキドキする。
こんなに大勢でやる鬼ごっこなんて、始めてだ。
鬼ごっこを高校生にでもなってやるとは思わなかったけれど。
やるからには、捕まりたくはない。
『鬼ごっこ…開始だ』
ご主人様の声で新入生が我先にと出口に向かって走る。
「いこ」
百瀬さんに手を引かれながら、おれは捕まらないように走った。
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