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5分後、ご主人様の『鬼、スタートだ』という声で追いかける側の生徒が走り出した。
百瀬さんとは途中で別れて、今は一人。
ずっと逃げ回っているのも、ただ辛いだけなので隠れ場所を探す。
ふらふらと歩き回っているうちに、森の奥に入り込んでしまったようだ。
帰れなそうだな…。
でも、いい隠れ場所かもしれない。
「っしょ」
念のため、木の上に登る。
そこそこ高い木で、葉が生い茂っているのですぐにはバレないだろう。
ぺしぺしと登った木を叩く。
なかなか太い木だ。
今座っている枝も全然折れそうにない。
寄りかかって葉の間から見える空を眺めていると、無心になれた。
そして、眠くなってきた…。
やっぱり、慣れない生活で疲れてたのか。
こんなところで寝ると、落ちそうな気もするが、少しくらいなら大丈夫だろう。
暖かい日差しに、自然の中でほどよい風の涼しさで。
みんなが必死に逃げてるだろうな、と思いながら目を閉じた。
「にゃあ」
鳴き声で目を覚ませば、猫がおれの上に乗っていた。
目を擦りながら時間を確認すれば、まだ30分ほどしかたっていない。
前に、夕方まで寝てしまう…ということをしてしまったから、少し心配していた。
「にゃあー」
すりすりとおれの手にすりよってくるので、頭を撫でてやる。
気持ち良さそうに、ゴロゴロと喉を鳴らして鳴いた。
可愛いなぁ。
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