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猫と一緒にほんわかしていると、木の下から声が聞こえる。
鬼かと思い、動きを止めた。
バレたら木の上だから逃げられない。
「シロ、いないのか」
聞きやすい男の人の声に、上にいる猫がぴくりと耳を揺らす。
もう一度「シロ」と言われれば猫は立ち上がり鳴いた。
「おいで」
その言葉に引き寄せられるように、猫は飛び降りる。
「シロがどうも」
この一言は、きっとおれに向けてなのだろう。
鬼なのかどうかは知らないが、捕まえる気はないらしい。
飛び降りた時にはすでに猫と男の人はいなかった。
「しろ…」
猫の名前だろうか。
また、会いたい。
可愛かったなぁ…本当。
服に付いた毛を必死に払っていたからか、後ろから来ていた鬼に気付けず追いかけ回される。
これが嫌だったから隠れていたのに。
森の中を走り回っているうちに、撒けたようで。
ほっと息をつく。
残り時間追いかけ回されていたら体力なんて持ちやしない。
「場所を変えるか…」
もう森の中は止めよう。
隠れられる場所が少ない。
さっきの鬼が遅くて助かった。
次はどこがいいかな。
隠れ場所を探してる時に見つかったら意味がなくなるし。
あぁ、疲れるなぁ…。
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