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時々、鬼に見付かりながらもなんとか校内に逃げ込む。
元々体力は多い方で逃げるのも得意だから、昔から鬼ごっこのような遊びは好きだった。
疲れる、だけど…楽しい。
小さい頃に戻った気分だ。
流石に走り回ったせいで息が切れる。
乱れた息を整えながら、人の気配のない教室に入った。
疲れたし、ここで隠れていよう。
教卓の下とか、ベタで良いんじゃないか?
意外に教室系はスルーされやすそうだし。
「いやぁ!こっち来んなバカァ!」
男としては少し高い声の、多分逃げてるから新入生。
それを追いかけるのは…
「良いじゃーん、僕に捕まっちゃいなよー」
皐月。
なんだか変態のようだな。
「にゃはは。甘い!僕から逃げられると思うなよ!?僕は動けるオタクさ」
「うわぁっ」
皐月の笑い声と、新入生の残念そうな声。
どうやら捕まってしまったようだ。
くすり、と笑いがこぼれる。
捕まってしまった生徒は、体育館に待機となってるので新入生は戻っていった。
早く皐月もどこかに行けばいいのに。
そんな願いも皐月には届かなかったみたいで、皐月はおれの居る教室に入ってきた。
「ふはは、ここに居るのは分かってんだって」
足音がだんだんと近付いて来る。
「直紀、みーっけ」
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