きっかけの日。

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「なにって…寝ようとしてるんです」 そう言えば、美形は眉間にシワを寄せた。 「なんだ、家出か?」 『家出』良い響きだ。 自分が家を出たということを、再確認したような気分になる。 頷けば、美形は「ふむ」と呟く。 「お前、俺の家に来るか?」 「え?」 美形はニヤリと笑う。 「三食しっかり食わせるし、寝床も用意してやろう。」 少しのお金しか持ってきていないおれとしては、なんて嬉しい提案なのだ。 「小遣いも出そうか」 うまい話には、裏がある。 きっとこれにも裏があるだろう。
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