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春。
桜の花びらが舞い散り、
ひらひらと地面を覆い尽くす。
俺、櫻井瞬はこの桜の絨毯の上を
一歩一歩ゆっくりと歩いている。
今日は高校の入学式だ。
はっきり言って怠い。
何が好きで長時間長い話を聞いて
椅子に座っていなくてはいけないのか。
そしてそのあと教室に帰ってからの
友達作りの光景は目に見えている。
別に自分は暗いとかいじめられっ子とか
そういう類いではない。
それなりに友達もいるし
むしろ好かれるほうだろう。
でも面倒だと感じてしまう。
「どこ中だったの?」
「部活は何部だったの?」
決まりきった言葉を並べ、
友達作りに励む。
そういうの面倒じゃない?
毎日楽しいことがあるわけじゃなく
優れた才能や劣ったことかあるわけでもなく
要するに普通。
毎日つまらないけど生きてる。
これって結構しんどいけど、
何気なく生きてるのが自分には
一番合ってると思ってた。
そう、あの日までは。
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