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皇一side
弥生、すまなかった。
さて、弥生に顔向けできるようにまず生徒会から建て直すとするか。
バン!
「時雨(副会長)か………。ドアは静かに開けようぜ」
「皇一!貴方、忍を泣かせましたね!私達は忍が幸せになるのならと二人の仲を応援しようと決めていたのに!貴方の下らない思惑のせいで忍が泣いてしまった!」
「確かにな……てか気付いてたなら言えよ」
「言いませんよ。貴方が会長の座から引きずり下ろすのに利用するつもりだったのですから」
コノヤロウ・・・・
「で?忍の件だろ?時雨はしっかりと忍の言い分を聞いて考えた上で俺のところに来たんだよな?俺様とぶつかる覚悟でよ」
「ええ、勿論伺いましたとも!貴方は忍にフラれた傷心を抉るようにこの学園から出ていくように強要したそうではありませんか!?これでは忍が余りにも可哀想だと「思わんな」……はい?」
「思わないと言ったんだ。そもそも、忍はこの学園に入るだけの実力を持っていない。それに時雨、お前も忍にほだたれすぎだ。薄々気付いてるんじゃないのか?『忍は自分を理解しているのではなく気に食わないから正そうとしているだけ』……自分だけ良ければ他はどうでもいいんだ。なあ、時雨。お前……前に弥生から言われたことを覚えているか?」
「忍を馬鹿に!!!……へ?」
なんつー、アホらしい声だ。
「弥生から言われたことを、だ。あれはお前が気づかないだけだ」
「ふん、あんな貧弱に言われたことなど・・・・・・・、「『副会長の嫌いな人とも仲良く見せるソレは社会に出たら最強の武器じゃないですか?』だ」……あの時は馬鹿にされたとばかり。…………じゃあ!あの貧弱が見抜いていることに私自身気づかず、ただ気付かれて嬉しかった。私は……」
あと一歩か。
「お前の親衛隊も可哀想だな。弥生や忍よりも早く気付いているのに、お前を気遣ってなにも言わなかった。ただソレだけが忍と違う。…………時雨副会長お前は考えろ。まだ答えを出すのは早い……お前はどちら側につく?」
俺は弥生を抱き寄せ壊れ物を扱うように静かに持ち上げ、生徒会室を出た。
そして、携帯を取りだし、執事のセバフチャンに連絡を入れた。
「俺の大事な人が倒れた。至急俺を迎えにこい。手厚く、看病しろ。それから、理事長の汚職を調べてくれ。俺はこれから生徒会を建て直す」
セバフチャンは嬉しそうに
『畏まりました。皇一様』と答えた。
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