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皇一side
くそっ!仕事がはかどらねえ。
いつも遅くまでやってんのに書類が片づかん!
こんなことを毎日していたら倒れもするよな……弥生、お前の凄さには叶わない。
「会長!ここ間違えてますよ!」
ここでは時雨だけがてきぱきと要領よくこなす。新しく入る生徒会は引き継ぎすらこなしていないものばかりだ。副会長の体力もそろそろ限界だろう。かくいう俺も眠気に勝てず筆が進みそうにない。
そんな修羅場で気付かなかったけど、少しずつ書類が無くなっていくのだ。どういうことだ?
何故か、周りが騒がしい。
なんだ。
見渡すとそこには久しく見ていなかった机で久しく見ていなかった愛する人が座っていた。
「・・・弥生、か?」
ただ、一人が来るだけで
いや、弥生が来るだけで作業はあっという間に終わる。
「久し振り、おはよう皇一」
のびをする愛す人が平然とそこにいる。
「おはよう……弥生」
「見慣れない顔が多いね。それに学園の雰囲気も変わってた……皇一、約束覚えてたんだね」
「見損なうなよ。俺もやるときはやるんだよ。それよりもよ、弥生、その長くのびた髪を切りにいこうぜ。今からな」
「あはは……─。やっぱりこれじゃあ感動の再会とはいえなさそうだね」
俺は弥生に近付き、顔も見えないほど伸びた前髪を開きその柔らかな額にキスをした。髪からはみ出た耳が赤くなっているのが見えた。
「髪を切ったら俺はもう耐えきれんかもしれん。どれだけ我慢したか、思い知らせてやるから覚悟しろよ」
「我慢してほしい、かな?」
おっと、生徒会のやつらになにも言わないのはいけないな。
「生徒会の諸君、俺は少し抜ける。弥生のお陰で終わるのは目の前だ。残りは頑張れよ」
俺は弥生を連れて生徒会室を出た。
もう間違えない。
自ら手放しはしない。
この幸せは限りなく俺様の隣りに
~fin~
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