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目が覚めた長谷川シュウヤがまず浮かべた表情は、悔しいという感情が強く伝わってくるものだった。
まずわしの事を見て、その後に室内の状況を確認し、次に視線を落とす。
「くっそ。マジかよ。負けたのか」
あっさりと自分の状況を飲み込むのも、こいつの良いところだな。
普通なら、もっと怒ってもいいはず。自分が負けた事を素直に受け入れられる人間は伸びる素質がある証だ。
わしは腰を浮かすと、長谷川シュウヤの元に近づいた。
「そうじゃ。まあ、色々と反則技みたいなのを使ったが負けは負けじゃ。人間カードの世界では、知識が多い者ほど有利に、そして力が強い者が勝利を手にする。まさに、どんな手段を使ってでも勝てばいい。全ては結果次第だ」
「そんな事は分かっている。どうして俺を殺さなかった? それに見たところカードにも閉じ込められていないみたいだが」
長谷川シュウヤは、不可解と言った顔をしてわしを睨みつけてきた。
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