不狸ジェイル

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「まずはアンタの仲間が何人いるのか教えてくれ。脱獄も一人でやっていたわけじゃないだろ?」 「お、おう。そうじゃな」 全てを見抜いているかのようなその瞳には、勝ったわしでさえもひやっとするものがあるわい。 長谷川シュウヤ。わしが見つけた男は、わしが思っているよりもずっと素質のある人間なのかもしれん。 同時に、恐ろしい存在である事は間違いないだろう。 よかろう。わしの全てをこいつに教えてやろう。 おそらく、人間カード事務局に人間と携わったのはわし一人だけだろうからな。 お前にその情報をやる。これは今までのユーザーが誰も手にした事がない生きた情報になるだろう。 「そうじゃ。人間カードの機能には、人の顔を変える事ができる特殊なものがあってな、こいつを使えば自分の弱みを握られても……」 わしはこいつに賭ける事にするよ。 それが今は正しい道だと信じている。 さて、これからが楽しみじゃわい。
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