長谷川シュウヤ③

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裏切ったそいつが何を考えているのかが分からないんだ。 どんな想いで、どんな気持ちで裏切ったのかが。それとも全てが終わった後、そいつはマモルたちさえも助けるつもりなんだろうか? まあ、今、色々と考えていてもしょうがない。 これから最初の計画を行うんだから。そろそろ集中しないとな。 ここは高層ビルの屋上。強い風が吹き荒れている。俺は身を屈めて、準備を始めた。 まずスマホを取り出して電源を入れると、人間カードの公式サイトを表示させる。 そこに映っているのは、じじいから貰ったアカウントだ。 まず第一の目的。俺はスマホを操作して、現状を確認した。よし。問題ないようだな。 そして、電話をかける。かけた相手はじじいだ。 『こちら脱獄老人でーす。準備オッケーじゃ』 喫茶店でお茶を入れていた時のあの研ぎ澄まされた紳士的な雰囲気は、俺といる時だとかけらも残っていない。 俺は「クソじじい」と吐き捨てて電話を切った。
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