長谷川シュウヤ③

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「Σ」東京本部のビルの屋上から、こっちに向かってじじいが手を振っている。 よし。予定通り。俺は用意していたプリズンバンドを装着した。 あのじじい、どんな怪物だよ。「Σ」東京本部の屋上に行く為には、近くのビルの上から移動するしかない。 ああいうところは、じじいが怪物だと思う理由のうちの一つだ。 プリズンバンドにじじいのカードを入れて、牢獄を通してじじいと合流する。 作戦開始から1分で「Σ」東京本部の屋上に侵入する事に成功した。 じじいと合流した俺は、まず周囲の様子を窺った。冷たい風が吹く屋上で、髪がなびく。 歳の割には髪の毛が豊富なじじいも、強くなびいていた。 「一体、どうやってこの屋上まで侵入したんだよ」 俺がそう訊くと、じじいはどうでもよさそうな顔をしてこう答えた。 「そんなの自分で考えろ。青二才」 「くっ」 うぜえ。俺は舌打ちをして、用意に取り掛かった。
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