最初の女

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奈良がセッティングしたカード内に到着した。薄暗い空間。目の前には、小部屋とその手前に鉄格子。 人間カード内の牢屋は正直最悪だ。打ちっぱなしの壁に鉄格子を取り付けられたているだけだ。 これならまだ志斎に用意してもらった部屋の方がましだ。 そんな事を考えながら、私が奈良の方を向こうとした時、視界に火花が走った。 「――――!」 顔面が急激に熱くなり、私は勢いよく地面に倒れ込んだ。 その時になってようやく顔を思いっきり殴られた事に気が付く。 痛みよりも強烈な眩暈が私を襲ってくる。そんな中、奈良は私の腕を強引に持ち上げて、プリズンバンドを強引に外した。 「いたいっ!」 暴れようしたが、それよりも先に奈良の鳩尾を狙って蹴りを放ってくる。 「うえっ」 体から千切れそうなほど強い力で腕を引っ張り、私を牢屋の中に押し込む。 私は俯けになって、込み上げてくる嘔吐を抑えた。
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