人間カード

最初の女

「何言ってんだよ」

「携わり始めたのは人間カードからだけどさあ、大学で見てた時のアンタは勉強もすごくできて、なんか硬派？ なイメージだったからもっと落ち着いているように見えたけど、意外と動揺したり、狼狽えたり、苛立ちを隠せない人なんだなあって分かってちょっと意外」

「はあ？」

そんなに今、動揺してたり苛立っているように見えたか？ いや、そんな事ないはずだ。

このやり取りの間で、そこまでは大きいな反応は見せてないはず。ハッタリだ。

「今、このやり取りの間でそんな様子は見せてないはずって思ったでしょ？」

奈良の確信したような言い方に、俺の鼓動は高鳴った。読心術？

「そういうところがアンタは駄目なのよ。私が言ったのは、さっきユウカの話をした時のアンタのこと。もう目を血走らせてさ、なんて分かり易いんだろうって反応をしてたから」

「くっ」

奈良と話していると妙に苛立ってくる。何か言い返そうと言葉を考えていた時だった。

奈良は、「もう着くわ」と言って俺から視線を逸らし前を向いた。