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左側を見ると、壁に取り付けられた鉄の梯子。コンクリートで作られた道はそこが終点だった。
奈良は、慣れた様子で梯子を登り始めて、頭上の分厚い蓋らしきものを勢いよく開ける。
「よいしょっと」
蓋はガコンッと重たい音を立てて開いた。
俺はその後に続こうと、梯子に足をかけた。
「――――!」
視界の左側に僅かな灯りの気配を感じる。ふと見ると、遠くの方から小さな光りが灯されて、奥の方の通路が照らされた。
「まずい。追手がきたぞ」
俺は見上げて、既に登り終わった奈良の顔を見てそう言った。
「じゃあ、ちんたらしてないで早く登りなさい」
呆れた表情で奈良は、俺を見下ろしながらそう言った。
「くっ」
俺は信じられないほどの速さで近づいてくる光りから逃れるように、梯子を勢いよく登っていった。
「なんだ……ここ?」
梯子を登りきると、意外な光景が視界に映し出された。
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