第6滑走・『ラストジャンプを私に』

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送るよ、とショーンは言ったけど 何のことはない、駅まで二人並んで、目的地に向かってひたすら歩くだけ。 …まぁ少し寂しい道も近道できるから助かる、かな。 しかし、スケートリンクであんなに軽くて饒舌だったショーンは、 またもマイペースに自分のお気に入りのナンバーなのか、舞愛には原曲のわからない(おそらく古今東西のユーロ系ポップスらしき曲)をず~っと口ずさみながら、ぶらぶらと歩いている。 (……あ、今の曲知ってる…、マイケル・ジャクソンの『スムース・クリミナル』) そして少し人通りのある場所に来ると、すれ違う人達がお約束のように振り返る。 (…ショーン…、背高いしこの美形度だもんねぇ…) (…じゃ、なくて。) 「なんで…、スケートリンクで清掃の仕事なんかしてるんですか?」 会話を始めたのは舞愛の方だ。 沈黙が気まずいから、なんて殊勝な心遣いからじゃない。 …そもそもこの人、沈黙してないし。 (あ、歌うの止めた) 無視されるかも、と半分くらい思ってた。 少なくとも会話する気はあるらしい。 軽いノリで近づいてわざと警戒させて、肝心なこと……自分の事情を話さないで済まそう、って腹じゃないのかなこの人。 そんな意地の悪い、裏読み。 (私って…性格悪…) しかし普通に気になるものは気になるわけで。
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