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スケートリンクの入り口は鍵を閉めてしまったが、清掃用に一カ所だけ開けてあるはずだから、と警備員さんに教えてもらった。
閉館時間はとっくに過ぎている。
(警備員さんは優しかったけど、清掃の人に起こられないかなぁ…)
教わったドアをそ~っと開けると、リンクの照明はほとんど消されていた。
リンクには窓らしい窓はなかったような気がする。でも今は、何かの光が反射しているのか、無人の暗いリンクの真ん中に、柔らかな白い光がぼんやりと丸く浮かび上がっていた。
ちょうどサーキュラーステップの軌道で満月を描いたかのように。
(…綺麗…)
舞愛はただその無人の氷の上を眺めていた。心の中に美しい音楽が流れ、もう一人の舞愛がリンクの月の上で心のままにステップを踏む。
(……あ…あれ?)
やがて、耳を済ませさないと聞こえないほどかすかに…
静かに氷を削る音が暗闇の中から聞こえるのに舞愛は気づいた。
(誰か、滑ってる…?!)
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