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黄金色の銀杏並木の木漏れ日が、ゴツめのジャケットから不似合いにのぞいた明るい色の髪に写り込んでいる。
微風でもあるのか、柔らかそうな巻き毛がふわふわと遊んでいた。
どこかイノセントな美しささえ感じる。
舞愛は素直に、綺麗…
と見とれかけて、
(いや、そうじゃないでしょ!)
(中身きっと、元ヤン崩れの半グレニートだって!!
ホント、これだけ立派な身体してたら、働けよ)
人さまの、しかもいい大人の生き方にまで口出しする気はないがコレだけは言わせてもらう。
「あのうっ!先生何て言ったか知りませんけど、そこで寝てられると迷惑なんですっ!」
「お年寄りや小さい子が座りたいとき座れないし!マナー違反ですよね?」
無反応。
2日間ベンチで寝てて、ずっと爆睡してるとも考えられない。絶対狸寝入りだ!
さっきの不審者とか、盗撮云々…、のくだりだって聞こえてたかもしれないのに。
無視って何?!
舞愛はイラッとして男のジャケットに手をかけた。後ろでいつの間にか(距離を置いて)集まってた模擬店女子の悲鳴。
万一向こうが飲んだくれの元ヤンニート(勝手にキャラ設定追加)だったとしても、こちらもアスリートの端くれだ。
いざとなったら蹴りを入れてダッシュで逃走できるくらいの脚力はある(結局逃げる前提か…
しかし。
「What…?」
重いジャケットの下から眩しそうに舞愛を見つめたのは、ペールブルーの二つの瞳…、
ミケランジェロの宗教画から抜け出した天使のように麗しい顔立ちの美青年だった。
(が…っ、ガイジン?!)
(先生…、話通じないはずだわ←ダメじゃん)
固まる舞愛の背後で、別な意味で女子の悲鳴が聞こえた。
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