Prologue――吸血?いいえ喀血です。

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吸血鬼。それは圧倒的な力を行使する『暴君』。 「はぁ、退屈だ……」 彼もまた、その『暴力』で全ての悪魔を圧倒した。 「身の程知らずが……たった100匹ぽっちで俺様を止められると思ったのか?」 ベルモンド=ヴァレンタイン。彼は絶対なる支配者であった。 「下らん高望みをする前に、自分の腕を磨いてろ。この愚か者どもめが」 今宵もまた、数多の屍が転がる血の海で1人黄昏る。 「……つまらん、そろそろ帰るか……」 大きな翼を出して満月の夜空を翔る。その姿は1つの絵画の様に美しかった。 「……夢、か。懐かしい。本当に懐かしい光景だった。あれは、何百年前だったか……。まぁいい。そろそろ起きるとしよう」 俺様は固く閉ざした棺桶を開き、起き上がる。 相も変わらず殺風景な部屋だ。我ながら設置してある家具がテーブルと椅子と暖炉だけとは。 カーテンを開け、外を見ると、丁度忌々しい太陽が沈み終わった所であった。以前迂闊にカーテンを開けてしまい、沈みきってない太陽の光が俺様を殺しにかかったのはトラウマだ。もう絶対にするものか。 「……さて、今日は何をしようか……。……ん?」 雨音……?いや、そんなはずはない。先程までかなり悪い天気(要は晴れ)だったではないか。いきなり雨なぞが降るなどあって…… 「たまったよこのやろう……」 雨だ。しかもこの降り方は絶対に嵐になる。 「はぁ……今日はろくなことが起こりそうにないな……」 俺様は、どうせ外に出ないだろうから寝巻きから着替えることなく、食堂からワインとチーズを取りだし、部屋に引き籠ることにした。
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