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この山から見る夕焼けは好きだ。街の向こう側に沈んでいく太陽が街を包み込むような暖かな光で照らしてくれる。1日の疲れも飛ばしてくれるってものだ。
「さて、家に帰――あれ?」
違和感を感じ、後ろを振り返る。でも……
「……気のせいかな?」
後ろには何もなく、ただ、塾へと続く道が延びていた。
「気のせいなんかじゃあないぜ」
「!?」
目の前に突如人が現れる。綺麗な銀髪を短く纏め、大きく鋭い目は見とれるような紅に輝いている。身長は……180はあるだろうか。俗に言うイケメンという分類分けされる人が目の前に立っていた訳ですから私はパニックですよえぇ。
「え、あ、な、何ですか?」
まずい、緊張しすぎて目が泳ぎまくってる!
「やっと見つけたぜ……これでベルの旦那は……」
……?何をブツブツ言ってるんだろうか?
「取り敢えず……なにも考えずに目先の女の子に手を出すっ!!」
「ヒイッ!?」
なんか物凄い速さで跳んできた!?ええっと、確か……あった!!
「えいっ!!」
「オゴアッ!?」
ガスンッと鈍い音が響き、イケメンさんが地面にキスする。
「おぉ。やっぱり便利だなぁ……
辞書って」
さすが辞書。調べものから変質者の撃退までやってのける便利アイテムだねぇ。
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