聖夜の喜劇

3/5
前へ
/5ページ
次へ
僕が妹とケーキを切り分けている時、一人の女性が我が家に踏み込んできた。 丈の長い、茶色いコートと、黒いブーツ。フードからこぼれた長い金髪。そして── 「どういうつもり?」 殺意のこもった青い目。 僕の愛する恋人は、黒いホルスターから拳銃を引き抜いた。 「どういうつもり、って、どういう意味?」 銃を上から押さえつけ、銃口を下に向ける。 となりでは妹が悲鳴もあげられずに、目には涙さえ浮かべて固まっている。 「その女は誰かって訊いてるのよ!」 語気を荒げる彼女に、兄妹そろってびくんと体が動く。 「彼女は妹だよ」 なにやら苛立っている彼女にそっと優しく言い返した。 決してびびっているわけではない。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加