聖夜の喜劇

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「言い訳は無しよ」 僕の手を振り払う彼女の手首をすかさず掴み、銃のセーフティをロックする。 「言い訳じゃないよ……」 「黙れ!」 彼女の大声に再び、びくっと反応する僕たち。 情けないとか言わない。 妹はたぶん英語がわかってないんだから。 ……えっ、僕? 「私はずっと見てたのよ。あなたたち二人が部屋に入ってからイチャイチャしているのを」 「ねぇ、ずっと見張ってたの?」 「私がいるのに他に女を作るなんて、最低ね」 流された。供述も質問も華麗に流された……。 ストーカーじみた彼女の愛情表現は今さらだけど、市民の安全を守る警察官がパトカーを占用して彼氏の自宅前に張り付いているのはいかがなものか。 「日本から妹が来るからって言っておいたじゃないか」
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