彼女は非凡を望んだ

6/6
前へ
/6ページ
次へ
放課後。一緒にかえろー、マック寄ってかえろー、などのかえろーコールがたくさん鳴り響く中、私もかえろーコールを受けていた。 「みさー、一緒にかえろー」 康介がわざわざ下の階からやってきてくれた。まわりの女子がきゃーきゃー言いながら康介を見て騒いでいる。 私はというと、特にきゃーとか、ボディタッチをすることもなくただ返事をしながらバックに教科書を詰める。 ふと、私が教科書を詰めている異変に気が付いた康介は 「なに、みささん。勉強すんの」 そう、私は勉強するのだ。 なんてね。 「いや、もうすぐ夏休みじゃない?そろそろ持ってかえろうかなーって」 さすが、といいながら私のバックを持とうとする。 「持ってやるよ、重いだろ?」 そこでまた女子のキャー!の声が高まった。黄色い声、というのかな。 しかし、康介はドヤ顔をしているのでたぶんわざとなのだろう。 ちょっと意地悪してやろうと思い、 いいよ、別にこれくらい、と言ってみた。 周りの女子はキャーキャー言いっ放しだが、康介は傷ついたみたいでちょっとしょぼん、としていた。 笑えた。 キャーキャー言う女子を置いて二人で教室を出た。 少し先を歩く康介。 なぁ、今日俺の家来ねえ? 別にやましい意味でなく、いつも康介の家に行くときは決まって 康介がそういう。 まあ別に嫌だといっても無理に来させるのだから返事はしなくていいだろう。 「あ、ポッキー食べたい」 そういってコンビニへ向かった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加