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「俺の考え間違ってたな」
「え……?」
「香坂は自分だけ愛されたくて亜莉紗に酷い事してるんだと思ってた。でも本当は亜莉紗を自分だけのにしたくて周りを遠ざけたんだなって」
私も、志穂に嫌われてると思ってた。
私の事を嫌ってるから助けてくれないんだって。
志穂が女の人から、運び出されていく悠達をゆっくり見た。
「貴女の亜莉紗ちゃんに対する愛情は異常よ。結果、亜莉紗ちゃんを傷つけて苦しめただけなの。わかる?」
「……は?」
「昔に貴女が周りの人に何をされたか、何を言われたかはわからない。それらから亜莉紗ちゃんが庇ってくれたから亜莉紗ちゃんを好きになったのよね?だけど自分だけの亜莉紗ちゃんにしようなんて、そんなの許されないのよ」
「何をわかったような口ぶりで……。私達の事を知らないなら黙っててよ」
「それが出来ないのよ。私は貴女を逮捕しに来たから」
「逮捕……?」
「香坂志穂!殺人未遂容疑で逮捕します!」
女の人の声に周りの人が志穂を取り囲む。
志穂は無言でナイフを手にするとそのまま女の人に向かって刺そうとした。
私は無意識のうちに志穂に向かって走っていた。
そして志穂に抱き着いた。
「っ!!亜莉紗……」
「もう……、もう、やめよう……?志穂の気持ち、わかったから……っ。これ以上、誰かを傷つけて志穂自身を傷つけないで……っ」
「亜莉紗……」
「私、志穂の事好きだよ。だって家族だもん。生まれた時から一緒にいたもん。私と遊んでくれたもん……っ。だけど私は、志穂だけを好きなわけじゃないの。お父さんもお母さんも、親戚の人達も、悠も、大和も、クラスの人達も、月城先生も、みんなみんな大好きなの……。それはいけない事じゃないでしょ……?」
「ダメだよ……。だって亜莉紗は……」
「それなら志穂も一緒に皆と友達になれば良かった……っ!」
「っ!」
「お父さんとお母さんと笑って、親戚で集まった時に近況話し合って、悠とケンカして、大和や学校の人達とくだらない事話して笑って、先生に呆れたように笑われて……っ!『この双子は』って皆に言われるような、そんな双子になれば良かった!!」
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