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呆然として動かない志穂。
そんな志穂を女の人が優しく微笑みながら連れて行った。
私は緊張が抜けてその場に座り込む。
そんな私の横に大和が座った。
「ひやひやしたよ」
「大和……」
「突然走って香坂のとこ行くんだから」
「……志穂の事を止められるのは私だけだと思ったから」
そう言って、まだ事件の匂いがする部屋の中を見渡した。
志穂が怖かった。
でも、それでも私は志穂が好きだった。
「う…っ……うぅ……」
涙が溢れて止まらない。
そんな私を大和は優しく抱きしめてくれた。
いつも私を守ってくれた優しい手で。
いつだって私のそばにいてくれた優しい大和に、何か恩返しがしたいと思った。
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