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志穂が起こした事件から数日。
お父さんもお母さんも悠も命に別状はないみたいで安心した。
警察の人から志穂の話を聞いた親戚の人達は最初は信じられないという顔をしていた。
でも私に対して凄く申し訳ない顔を向けた。
悠の両親なんて泣きながら謝ってくれたし、悠の言っていたことが本当だったと後悔していた。
悠は私の事を無償で信じてくれた。
疑うことなく一緒にいてくれた。
お礼を言わないといけない。
あの日から学校では私を遠巻きに見てくる人が増えた。
でもそれは前のように嫌悪感を含んだ目じゃなくて、哀れんだような可哀想な物をみる目。
そんな目をしないでほしかった。
志穂の事を、嫌わないでもらいたいし。
だって嘘でかためられていたと言っても志穂と友達だった事は事実なのだから。
私は溜息をつきながら教室へ入った。
すると京子が私に抱きついてきた。
「!?京子!?」
「助けて!!」
「は!?」
突然何を言っているんだ。
一体何から助けろと?
そう思いながら京子の肩から向こうを見ると真由が怖いほどの微笑みを向けていた。
思わず私もビクッとする。
「ま、真由?どうしたの?」
「京子ちゃんが私の言ったこと完全に忘れてるからだよ」
「京子一体何を忘れたの?」
京子にそう聞くと京子は私の顔を見た。
「今度の日曜日に、水族館に行く約束してたの」
「水族館?」
「ほら。修学旅行でいけなかったし、亜莉紗も一緒に楽しめなかったし」
「私も?」
「もちろん誘うつもりだったよ。だけど……」
京子が口ごもる。
そんな京子に真由が詰めよる。
「京子ちゃんはそんな大事な日にバイト入れちゃったんだよね?」
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