自分の幸せ

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二人の病室をあとにして、私達は家に帰ることにした。 「あのさ、亜莉紗。今日亜莉紗の家行ってもいい?」 「いいけど、どうして?」 「あんまり亜莉紗一人にしたくないんだよ。前のこととか思い出したら可哀想だし」 「いつも一人だったから?平気だよ」 「慣れちゃってるのは知ってる。でも俺が嫌だから」 大和と一緒に家に帰る。 二人きりなのは凄く久しぶりなので何故か緊張してしまう。 「その……、ウチに来てどうするの?」 「ん?泊まる」 「そう……って、泊まる!?」 突然の報告に目を白黒させる。 大和はニコニコしながら私を見た。 「亜莉紗、良かったね」 「え?」 「これから、亜莉紗の人生が始まるんだよ」 どれだけこの人は私がほしい言葉を知っているんだろう。 私は大和の手を握った。 「ありがとう。今が幸せなのは大和のおかげだよ」 「俺は何もしてないよ」 「嘘。たくさんしてくれた」 二人で笑う。 こんな日がくるなんて誰が分かっただろう。 これから私は家族と楽しい思い出を作るの。 友達とも遊んで、親戚ともたくさん話して……。 いつかは大和と一緒にこうしてずっといられたら。 「大和。これからも私にいろいろ教えてね」 「そんな可愛いこと言うと、これから教えてあげないといけなくなるよ」 そう言って大和が私を押し倒す。 「大和!?」 「心配しなくても、俺はずっと亜莉紗の隣にいるよ。どれだけ亜莉紗が俺を拒絶しても」 「それは怖いかな」 「それくらい、亜莉紗が大好きだってこと」 大和が私にキスをしてくれる。 その優しい時間が私に安心をくれた。 これから先の未来のことも、きっと大丈夫だって。 私は大和と二人で笑い合った。 私は私。 香坂亜莉紗。 双子の姉をもつ、何も変わらない普通の家庭にいる、恋する女の子。 ~END~
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