風邪と地下室

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送ってくれるという大和の好意を断って一人で家に帰る。 ドキドキしながら玄関を開けるとお母さんに出会した。 目を見開くお母さん。 「何……してるの……?」 「お母さん……」 「学校はどうしたの!?アンタは志穂の代わりに……!!」 「ごめんなさい……」 「ごめんなさいじゃない!!」 そう言うとお母さんは私の手を掴んで地下室へ向かった。 そして投げつけるようにして私を床に叩きつけた。 「志穂が無断欠席なんてしたなんて事になったら、アンタの事殺してやるから!!」 そう言ってシャワーのノズルを掴むと私に水をかけてきた。 寒い……。 「しばらく頭冷やして反省してなさい!!役立たず!!」 水が流れたままシャワーを私に投げつけるとお母さんは地下室から出ていった。 動く元気なんて、私には残ってなかった。 頭が痛くて…… とても寒くて…… 「大和……」 会いたい。 また、手を握ってほしい。 頭を撫でてほしい。 おこがましい願い事だって分かってる。 それなのに大和の顔が頭から離れない。 ゆっくり目を閉じる。 意識を失う瞬間、地下室が開くような音がした。 「……っ!!」 誰かが息を吸うような気がして、私の意識は完全になくなった。 亜莉紗の意識がなくなると、地下室に入ってきた男の子は亜莉紗を抱き締めた。 「ごめん、亜莉紗。遅くなったね」 大和とは違う雰囲気と美貌を持ったその男の子は亜莉紗を抱え上げると地下室を出た。 .
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