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紺野大和から目を逸らしてそう言うと紺野大和が吹き出した。
「俺は亜莉紗だから名前で呼んでんの」
「は?意味わかんない」
「やっぱまだ心開いてくれてない、か」
「何?」
紺野大和の呟きが聞こえなくて聞き返すと完璧な笑顔が向けられた。
「ん?なーんでも」
「あっそ」
ホームルームのチャイムが鳴る。
私は紺野大和を追い出す事を諦めて椅子に座った。
「ここ、完全に亜莉紗の部屋と化してるよね」
「私の部屋だもん」
「じゃあその部屋に入ったの、俺が初めて?」
ニコニコしながら隣の椅子に座る紺野大和。
私は紺野大和を睨み付けてふて腐れた。
「その通り。だから早く教室行けば?」
「亜莉紗が一緒に行くって言うなら行く」
「寝ぼけてんの?あんた」
「えー?なんで?」
「今から教室行くなら最初からこんな場所来ないでしょ?」
「息抜きじゃん」
「ホームルームサボるためにここに居ると思ってんの、あんた」
そう言って紺野大和を睨むと紺野大和が私の手をとった。
「亜莉紗がサボるなら俺もサボる」
「やっぱ寝ぼけてんでしょ。あんたと私は違う。学年一位と最下位だよ?あんたが授業出てなかったら大騒ぎ」
「俺は毎日大騒ぎだけど?」
「なんで?」
「だって前の席が毎日空席なんだもん」
「そりゃ……」
「亜莉紗が居ないだけで俺のやる気は格段に下がる」
「意味不明」
紺野大和の手を振り払って立ち上がる。
そしてコーヒーを作った。
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