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僕のいる世界では、水月 鴉という『商品』はいわゆる『珍品』だ。
雪みたいに白い肌。
女の子みたいな男。
珍しい瞳の色。
日本人の両親から生まれた、金髪の持ち主。
ソプラノヴォイスを維持する為に捨てた男性の機能、特徴。
何もかもが珍しいから、僕の身体は高値で取り引きされる。
‥そう認識される事すら、アングラなこの世界でだけ。
普通の世界では、僕は珍妙で、気味の悪い姿をした人間でしかない。
振り返り、後ろで話していた人たちを見る。
‥みんな目をそらして、気まずい顔になる。
視線を戻して、再び歩き始める。
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