1桜舞う季節に

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ファンファン… 目の前を電車が走り抜けていく。 その勢いで私の肩の少し下まである髪の毛が揺れた。 カシャン… 電車が通り過ぎるとバーがあげられ、待っていた人達は渡っていく。 私もゆっくりとその道を渡った。 ――季節は桜舞う春。 今日は高校の入学式、新品の制服に身をつつんでいるものの、新しく始まる生活に少しも期待などしていなかった。 だって、そうでしょ。 新しく高校生活が始まるとしても、どうせ今までと大した変化は無いに決まっている。 友達だって、こんな私じゃ―…。 ポンッ 不意に肩を何者かに叩かれ、私は振り返った。 「…昴」 「なにつまんねぇ顔してんだよ…新しく高校生活が始まるってのに…」
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