ppを響かせて<第1話>

弐

　
私は大学卒業後、大手システム会社に入社した。

理由は今思えば、とても幼稚で、安易なものだった。

博がそこに入社し
博が私もそこへ入社することを望んだから。

機械音痴の私にとって、
パソコンは意味不明の箱で
プログラミングは呪文のような存在だった。

でも、博と離れたくなくて
博に認められたい一心で、５年間、頑張った。

博は就職活動中に私に言った。
「俺、自立した女が好きなんだ。

男に頼って生きている女ってウザイ。

だから、お前も就職して、最低３年間は頑張れよ。」

私はその約束を守った。