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「やります?」
コントローラーを差し出すと、キヨシさんはそれを受け取りテレビ画面を向き座った。
「お前、何時まで起きてんだよ。このまま徹夜でもするのか。哲也が徹夜ってか」
この人はこのギャグが鉄板だと思っているようで、何度も言ってくる。
「ホント、こんなことしてる暇あったら続けてればよかったのに、空手。もったいねえなぁ……」
「や、やめません? その話」
それを言われると何も反論できなくなる。
今はふざけたことばかりしているキヨシさんだが、もともと俺が空手をはじめたのはこの人の影響だった。
キヨシさんが通っていた空手道場に行きたいと言ったのが小学校3,4年のころ。
自分は選手としてあまりいい結果を出せなかったが、キヨシさんは高い身体能力で大きな大会でも上位に食い込む実力の持ち主だった。
キヨシさんは大学に入っても空手をつづけていたが、靭帯損傷で競技をやめた。
「でもまあ、お前は靭帯が切れる前に辞めといてよかったのかもな」
「なんで切れるのが前提なんすか」
「だってお前、体かたいじゃん」
そう、俺は異常に体がかたかった。
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