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正しい蹴りを習得するには、体の柔軟性が必要不可欠になってくる。
しかし、俺の場合、何年柔軟をしつづけてもちっとも体がやわらかくならかなった。
その出来なさ加減に師範もあきれるほどだった。
どうすれば勝てるのか、相手の動きで読み取るのだけは得意だった。
ちゃんと動ければ勝てる、そんな思いはあった。
でもそれだけじゃダメだった。
自分の思うような動きが出来なかったのでやめる。
これだけ聞くと、引退間際のプロスポーツ選手の言葉のようだが、俺がこう考えたのはまだ15歳のときだった。
そう考えると、俺たち二人は武道の神様に気に入られなかった人間だったのかもしれない。
「でもお前はいいよな、入れ替わったら自由に動けるし。俺はずっとこのポンコツの足引きずって生きてかなきゃいけないのに」
それを聞いて体が若干こわばる。
「入れ替わり? 何の事だか……」
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