1、Intact girl

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うす暗い路地裏。 女子高生が一人、仁王立ちしている。 長い髪がわずかに風になびく。 彼女の目の前には、たった今叩きのめしたばかりの大男が転がっている。 大男はうめきながら彼女を見上げ、言う。 「……お前、何者だ?」 女子高生は、大男を見下ろしながら静かに口を緩める。 「――負けた奴には教えねえよ」 低めの、張りのある声が響く。 女子高生は、後ろを振り返りその場を後にする。 大男は、その背中をうずくまりながら見送るしかなかった。 彼はさっき起きたことを思い出していた。 始めは女だと思ってあなどっていた。 しかし、どんなに手を変え品を変え攻め立てても、あの女はあと少しの所で攻撃を避ける。 力づくなら負けない、と闇雲に手を出した。 で、気づいたら床に伸びていた。 大男は前に聞いていたある話を思い返していた。 ("アイツ"かもしれない……) 一度も相手に傷つけられたことのない、無敗の女。 ――インタクト・ガール。
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