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うす暗い路地裏。
女子高生が一人、仁王立ちしている。
長い髪がわずかに風になびく。
彼女の目の前には、たった今叩きのめしたばかりの大男が転がっている。
大男はうめきながら彼女を見上げ、言う。
「……お前、何者だ?」
女子高生は、大男を見下ろしながら静かに口を緩める。
「――負けた奴には教えねえよ」
低めの、張りのある声が響く。
女子高生は、後ろを振り返りその場を後にする。
大男は、その背中をうずくまりながら見送るしかなかった。
彼はさっき起きたことを思い出していた。
始めは女だと思ってあなどっていた。
しかし、どんなに手を変え品を変え攻め立てても、あの女はあと少しの所で攻撃を避ける。
力づくなら負けない、と闇雲に手を出した。
で、気づいたら床に伸びていた。
大男は前に聞いていたある話を思い返していた。
("アイツ"かもしれない……)
一度も相手に傷つけられたことのない、無敗の女。
――インタクト・ガール。
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