3、Childhood friend

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玄関に入り靴を脱いでいると、背後から誰かがやってくるのに気付いた。 嫌な予感がする。 急いでドアを閉めようとするも、開いている隙間からスッと誰かが顔を出してきた。 「ただいまー!」 元気よくそういうと、中に入ってこようとする。 外見はブレザーの制服にミニスカート。いまどきの女子高生といったかんじだ。 頭の後ろから生えている髪の束を、子供じみた柄のシュシュで結んでいるのが見える。 「あー、お腹すいた! 晩ごはん何かな――ってうおおっ!」 俺はとっさにその頭を手で押さえると外に押し出す。 「お客さん、ご自宅お間違えですよ」 「うわああっ、てっちゃん、どうして邪魔するのー! 入れてよー!」 このとぼけた女子高生は、隣の家に住んでいる小林ミキ。 両親同士が仲がいいせいか、この家にもまるで我が家のように出入りしてくる。 「ねえ、その呼び名やめてって言ったよね? てっちゃんて言うの。嫌いなんだよ、俺」 言いながらドアでミキの顔をはさむ。 「ちょっ、イタタタ! だってずっとそう呼んでたからつい……ていうか、入れてよ! ウチんち誰もいないんだもん! お母さんカップラーメンしか用意してくれてないんだよ? ここでごはん食べるしかないじゃん!」 こいつの両親も今ごろ旅行を楽しんでいることだろう。
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