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玄関に入り靴を脱いでいると、背後から誰かがやってくるのに気付いた。
嫌な予感がする。
急いでドアを閉めようとするも、開いている隙間からスッと誰かが顔を出してきた。
「ただいまー!」
元気よくそういうと、中に入ってこようとする。
外見はブレザーの制服にミニスカート。いまどきの女子高生といったかんじだ。
頭の後ろから生えている髪の束を、子供じみた柄のシュシュで結んでいるのが見える。
「あー、お腹すいた! 晩ごはん何かな――ってうおおっ!」
俺はとっさにその頭を手で押さえると外に押し出す。
「お客さん、ご自宅お間違えですよ」
「うわああっ、てっちゃん、どうして邪魔するのー! 入れてよー!」
このとぼけた女子高生は、隣の家に住んでいる小林ミキ。
両親同士が仲がいいせいか、この家にもまるで我が家のように出入りしてくる。
「ねえ、その呼び名やめてって言ったよね? てっちゃんて言うの。嫌いなんだよ、俺」
言いながらドアでミキの顔をはさむ。
「ちょっ、イタタタ! だってずっとそう呼んでたからつい……ていうか、入れてよ! ウチんち誰もいないんだもん! お母さんカップラーメンしか用意してくれてないんだよ? ここでごはん食べるしかないじゃん!」
こいつの両親も今ごろ旅行を楽しんでいることだろう。
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