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「さん付けしたら入れてやるよ」
「え? 何? イタタタ! サンヅケ?」
「名前にさん付けろって言ってんだよ。哲也さんって」
「て、哲也さん、入れてください!」
「……ったく、しかたねえなぁ」
頭を押さえていた手をゆるめドアを開けると、ミキは頭をさすりながら入って来た。
「ふぇ~、やっと入れた……意地悪な隣人を持つと苦労するなぁ」
「喧嘩売ってんのか」
「しかし、入ってしまえばこっちのもの!」
そう言うと、トコトコと小走りで家の中に入っていく。
ため息が出る。
同い年で、中学までずっと同じところに通っていた幼馴染。
いつも一緒にいるのが普通だったせいか、高校が違くなってもこうして腐れ縁が切れない。
元気なのはわかるが、時々猛烈にうっとおしく感じる。
せっかく一人で家を独占できると思っていたが、とんだ邪魔が入ってしまった。
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