プロローグ

3/10
前へ
/10ページ
次へ
数秒が経ち、茂みからは何も出て来る様子はない。 う~ん気のせいだったのかな? 警戒を解いて刀の柄から手を離そうとしたその時、茂みの中からリザードマンが飛び出し僕の頭目掛けてシミッターを降り下ろしてきた。 とっさに真横に転がり即座に立ち上がり、腰に差してある刀を鞘から抜き放つ。 綺麗な音と共に抜いた刀は少し重く、僕は刀を右手に握り地面に着くか着かないかギリギリのところで構え、腰を落として膝を曲げリザードマンを睨み付ける。 リザードマンは多少知識があり体全身緑で鋼のように硬い鱗状の皮膚。 巧みに操るシミッターは赤黒く血に染まってまがまがしい光を放っている。 トカゲの頭に尻尾を持つ半人半獣の怪物、紅く光る眼光をギラギラと輝かせ、獲物を殺そうと僕に向けてくる。 それだけで弱者は死という恐怖に支配され足がすくみ、即座に強者に為す術もなく喰われてしまうだろう。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加