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部屋に着き、玄関のドアが閉まるなり、佐野さんはすぐに私を抱きしめた。
「茉菜……っ」
もう待ち切れなかったかのように……。
切羽詰まったみたいに名前を呼ばれた時、躰の奥がゾクリと泡立つような気がした。
ずっと、“昨日の続き”を期待していたのは、私の方だったのかもしれない。
「佐野さん……私、佐野さんが好きです……っ」
最後まで言い終えるか終えない内に、佐野さんの唇が私の唇を塞いだ。
直様絡まった熱い舌が、私の躰を溶かしていくーー
「俺も……」
熱い吐息までもが唇に絡まると、さっきよりも躰のもっと奥が疼き出す。
夢中で佐野さんの大きな背中に腕を回しピッタリと体を寄せると、大きな手が私の髪を乱しながらキスを深めていった。
ーー気が付くと、いつの間にか一糸纏わぬ姿でベッドの上にいた。
まだ日は落ちていなくて、カーテンを締め切っているとは言え、まだまだ明るい室内ーー
そんな中で全てをさらけ出すのは恥ずかしくて、いつもの私なら絶対にあり得ないことだと思う。
けれども、佐野さんの大きな手に触れられると、熱に浮かされたように、そんなものは思考ごとどこかへ吹き飛んでしまった。
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