10 ジェラシー?

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「茉菜……っ」 「あっ……ダ、ダメッ!」 名前を呼ばれながら躰を揺さぶられる度に、こみ上げてくるこの初めての感覚に、シーツを掴んで何度も耐えた。 けれども、佐野さんもまたその度に、更にもっと私の躰を意地悪く揺さぶる。 「ダメ?ダメじゃねーだろ?」 「ダメッ!ほんとにダメ……佐野さん……っ」 「もう“佐野さん”じゃねーよ。“勇太”だ。勇太」 「ゆう……た?」 「そう。勇太って呼べよ」 「……ゆ、勇太ぁ……っ」 「あぁ、もっと呼べよ」 心許なくもそう呼んでみると、佐野さんも息を乱しながらニヤリと満足気に笑った。 そして、シーツを掴んでいた私の手を包み込むように重ねられた、佐野さんの手。 ーーこの手が好き。 大きくて、温かくて、力強くて…… だけど、すごく優しくて……。 私に触れるこの手は今、私だけのものーー そんな間にも、躰のずっとずっと奥の方から押し寄せて来た“何か”が私に迫って来る。 「勇太ぁ……勇太ぁっ!」 ーーその瞬間、怖いくらいのスピードで一気に浮上し出す躰。 初めてのこの感覚が怖くて…… 本当にどこかに吹き飛ばされてしまわないように、ギュッと佐野さんの背中にしがみ付いた。
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