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決して悪い人ではなさそうだけど、それでも先輩だからと言うことで気を遣っていそうな佐野さんを思うとーーー
「佐野さんも大変ですね?」
ついポロリと吐いて出た言葉に、佐野さんは困ったように少しだけ目を細めた。
だって、市井さんのこともあるし……?
時折見せる笑顔が、何となく色々と無理しているんじゃないかなぁなんて、お節介ながらにもそう感じた。
佐野さんて、おちゃらけてバカやっているようで、案外真面目だから……
「じゃ、今日はありがとう」
「あ……っ!待ってーーー!」
この時私は、どうして呼び止めてしまったのだろう……?
背を向けて歩き出そうとした佐野さんが、
「何?」
と、驚いた顔でこちらを振り返った。
「ええっとーー…」
私は、何を言いたいの……?
何で呼び止めたかは自分でも謎。
「あの……、コーヒーでもどうですか?」
でも、どうしても……
今日の佐野さんがいつもと違うのが、私には気になって仕方なかったから……
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