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女はストーカーに遭っていた
1週間前から、誰かに見られている気がする
数日前には、家の郵便受けに分厚い茶封筒が入っていて、そこには大金が入っていた
仕事帰り、女は1人で暗い路地を歩いているが、誰かに後ろを付けられている
2つの足音が人気の無い路地に響き渡った
後ろの足音が早くなる
対抗するように前の足音も早くなる
近付いてる
近付いてる
近付いてる
近い
近い
足音が追い越した
「久しぶりだね
ずっと会いたかった
昔と全然変わってない」
男の顔は髪と髭で隠れ、よく分からない
首には十字架のネックレスが不気味に光ってる
ボロボロのスウェットに革靴を履いている
腕捲りをしている腕は木の枝のように細い
女は恐怖に怯え、泣きそうだ
「君に拒絶されたあの日から、毎日、お前の事を考えてきた!
もう一度付き合おう」
『ヤメテ!
来ないで!』
男はたじろぐ
しばらくして、また話し出した
「もう…束縛なんかしない
悪いところは全て直す
あんなに好きって言ってくれたじゃんか
ずっと、お前と一緒にいる為に仕事も辞めた」
『何でそこまで…』
「お前の事が忘れられないから
他の女じゃダメなんだ」
『ゴメン
無理だよ
私……もうすぐ大好きな人と結婚するの
それに赤ちゃんもいるの』
男は崩れ落ちた
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