ある騎士の戦い

2/4
前へ
/4ページ
次へ
どんよりと曇った空 雨がポツリポツリと落ちてくる 「辺り一面は焼け野原となったこの戦場に神が悲しみの涙を流したか………」 そんな事を呟いていたら 「……何を言っているのです?」 と、隣で俯いていた少女が顔を上げてこちらを見ていた。 「そんな顔をするなよ、なんだ?腹でも減ったのかい?」 「はぁ……私は呆れているんですよ…全く……」 と、メアはこう続けた 「貴方の力でここを焼け野原にしたのでしょう?」 それは突然だった 一人の長身の男とまだ背の低い小さな少女が手を繋ぎ歩いて来た。 「親子……か?」 「そのようだな、仕方ないがこれを逃せば我らは飢え死にだからな」 「気の毒だが、これも我らの悲願のためだ!」 飢えた傭兵達が茂みから飛び出してきた、皆目が血走っており息も荒い。 「なんだい君達は、腹でも減っているのかい?だがあいにく僕らは食べ物を持っていないんだよー 残念だろうけども他をあたってみてねー、それじゃあ。」 そう言い立ち去ろうとしたが。 「そんな嘘に騙されるか!!おとなしく食べ物を出しゃーいいんだよ! なんだ?それとも俺達を倒すか? へっ!笑わせんな!こちとら20人の傭兵団!倒せるってんならやってみ…」 「五月蝿い」 その瞬間、男が手を天にかざした 「なんだ?なんの真似だ?」 「ふっ分からないかい? 降参さ」 やけに得意気に言うので隣の少女はちょっとずっこけた気がするのは置いておこう 「ほぉ?物分りがいい兄ちゃんだな、じゃあ食べ物を渡してもら…」 「すまないがこの娘をやるから堪忍してくれないか?」 隣の少女はびっくりして「バッ」と何かを言いかけたが、男が口を手で封じたので言葉は続かなかった。 この男が何を言ったのか、傭兵達は一瞬思考が停止した。 「……お前は何を言って…」 「この娘の名はメアです!どうぞどうぞー」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加