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「お前は……その娘の親だろう?」
傭兵からそんな声が聞こえてきた。
「いえいえー私はこの娘と何の関係もございませんー、拾ってやったらやたらと懐いてきたんで困ってたんですよー、私の旅には邪魔ですので、どうぞお受け取りくださいー。」
と、その少女をこちらに渡し、男は立ち去ろうとした。
「……っお前ふざけてんのか!!
こんな娘などいらん!!さっさと食べ物を渡しやがれ!!」
顔を真っ赤にして怒鳴った。
「その娘でも食べてくださいよー」
少女は目を見開き青褪めた。
「貴様それでも人か!?仮にもお前が拾った娘だろう!?愛情も人情も無いのか!!?」
傭兵はそんな事を言った
「ふむ?だが私の食べ物を君達に渡したら、私達は次の街まで辿り着けずに餓死してしまうよ?」
男は呆れた顔をして、そう言った。
「うっ……そ、そうだな……それもそうだな、済まない……ここは見逃してやろ………?」
傭兵は何か違和感を感じた。
「ん?何故俺はお前達を見逃す?……お前達を助けるため……?」
「そうですよー助けてくださいよー。」
「立場がいつの間にか逆転してるな……危ない…危うく騙される所だった!」
「あれ?気づいちゃいました?」
男は残念そうな顔でそう言った。
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