バイト少年とサンタのオッサン

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いちゃいちゃ、いちゃいちゃし続ける、カップルを見送っていると。 「あ、サンタクロースだーー!!」 母親に手を引かれて歩く、子供が周りの遠慮も迷惑も一切、無視して騒ぐ、母親も、そうね、サンタクロースね、と、軽くあやす。 もちろん、本物のサンタクロースじゃない、同僚の辻本さんだった。 僕からしたら、贅肉の垂れたお腹を揺らす、太ったオッサンなんだけれど、真っ赤な衣装と真っ白なヒゲだけでも、子供にとってはサンタクロースだと信じるのに十分なんだろう、単純な生き物である、僕にもそんな時代があった。 「いやー、お疲れ様ー、ビラ、配り終わったよ」 朗らかに笑う、辻本さん、子煩悩というか、子供好きな性格らしく、子供に律儀に手を振りながら言う。 「こっちも順調ですよ、さっきはカップルが買っていきましたし」 「ああ、あの仲良しさん達か、いいよねー幸せオーラ全開でさ、お幸せにだよ」 「そうですね、お幸せにですよね」 苦笑いしつつ、死ねばいいなんて思う自分を遠くに蹴り飛ばす。
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